AIに勧められた店の来店率は60%|調査の読み方とAIに選ばれる店舗情報
AIツールが提案した飲食店への来店率は60%、AIの情報だけで決めた人は約28%。訪日ラボの調査の読み方と、atlio MEOの試験で分かったAIごとの参照先の違い、ビジネスプロフィール・公式サイトで整える情報を解説します。

ChatGPTなどのAIツールに「この辺りでおすすめの店は?」と聞いて、店を決める人が増えています。2026年10月、訪日ラボ(株式会社mov)は、飲食店選びにAIツールを使ったことがある人を対象にした調査で、AIツールが提案した飲食店への来店率は60%だったと発表しました。
一方で、同じ調査では、AIの情報だけで店を決めたことがある人は約28%にとどまり、多くの人がほかの情報源で確かめてから店を決めていることも分かります。
この記事では、調査の数字を正しく読むための前提を整理したうえで、atlio MEOがAI検索で実際に試した結果をもとに、AIに勧められたあと、お客様が確かめたときにも選ばれる店舗情報の整え方を解説します。
調査で分かったこと
訪日ラボは、株式会社movが運営するインバウンドビジネスの総合メディアで、訪日外国人に関するニュースやデータを配信しています。同社は、Googleビジネスプロフィールやグルメサイトなどの店舗情報・口コミをまとめて管理できる店舗向けサービス「口コミコム」も提供しており、インバウンド向けのMEO対策にも対応しています。
訪日ラボが公開した「AIツールが飲食店選定に与える影響の調査」の概要と、公開されている主な数字は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 調査期間・方法 | 2026年9月7日〜9日、Webアンケート |
| 事前調査 | 2,374人に、AIツールの利用状況を質問 |
| 本調査の対象 | 20〜50代の男女483人。直近1年以内に自分で調べて飲食店を決め、AIツールを普段から使い、飲食店選びにも使ったことがある人 |
| 結果 | 数値 |
|---|---|
| AIツールを普段から使い、飲食店選びにも使ったことがある | 33.7% |
| AIツールを普段から使っているが、飲食店選びには使ったことがない | 42.2% |
| AIツールの利用頻度が、1年前より増えた(飲食店選びに使ったことがある人のうち) | 約7割 |
| AIツールが提案した飲食店への来店率 | 60% |
| AIツールの情報だけで飲食店を決めたことがある | 約28% |
| 情報の不備を理由に、店を候補から外したことがある | 8割以上 |
出典:訪日ラボ(株式会社mov)「AIツールが飲食店選定に与える影響の調査」(2026年10月)
訪日ラボが同じ時期に公開した関連調査でも、メニューや価格などの情報が足りない・古いと感じた人がいたことが紹介されています。
数字を読むときの3つの前提
「来店率60%」は目を引く数字ですが、使うときは次の点を押さえておく必要があります。
1. 対象は「AIで店を選んだことがある人」
本調査の483人は、AIツールを普段から使い、飲食店選びにも使ったことがある人に絞り込まれています。「消費者の6割がAIの勧める店に行く」という意味ではありません。事前調査で飲食店選びにAIを使ったことがあったのは33.7%で、AIを普段使っていても飲食店選びには使っていない人が42.2%いました。
2. 「60%」の設問と母数は公開部分では確認できない
公開されている範囲では、「来店率60%」がどの設問のどの回答から算出されたかは分かりません。「AIに提案された店に行ったことがある人の割合」なのか、「提案された店のうち実際に行った店の割合」なのかで、意味は変わります。
3. 詳しい結果はレポート本体で確かめる
設問ごとの結果や、AIの提案を採用しなかった人が気にした点などは、訪日ラボのレポート本体(会員登録で閲覧できます)にまとめられています。社内の資料や提案で数字を使うときは、レポートで設問と対象を確かめてから引用すると、意味を取り違えずに済みます。
そのうえで、「AIに勧められた店は、実際の来店候補になっている」「ただし多くの人は別の情報源で確かめる」「情報の不備は候補から外される理由になる」という3点は、店舗の情報発信を考えるうえで十分に参考になります。
AIだけで決める人は約3割。残りは「確かめてから」決める
AIの情報だけで店を決めたことがある人は約28%でした。言い換えると、AIで候補を知った人の多くは、Googleマップ、グルメサイト、公式サイト、口コミなどで確かめてから来店を決めていると考えられます。
ここで情報が食い違っていたり、古かったりすると、AIに勧められた店でも候補から外されます。8割以上が「情報の不備で候補から外したことがある」という結果は、この流れを裏付けています。
AIに勧められるかどうかと同じくらい、確かめに来た人が、どの情報源を見ても同じ事実にたどり着けるかが大切です。
atlio MEOの試験:AIによって参照先が違う
AI検索での見え方を測る機能を検討するため、atlio MEOは2026年10月12日、AIツールが店舗を勧めるときに何を参照しているかを小規模に試しました。
- 地域と業種:渋谷の飲食店、吉祥寺の美容室、札幌駅周辺の歯科
- 質問:「地域+業種+条件」(例:個室がある、土曜も診療している)
- 対象:Google検索のAIモード(スマートフォン・位置を指定)、ChatGPTとGemini(Web検索を有効にしたモデルを開発者向けの窓口から利用)
| 項目 | Google検索のAIモード | ChatGPT・Gemini |
|---|---|---|
| 店の出し方 | 多くの質問で、回答の中に店舗カード(店名・評価・営業中かどうか・住所など)が入った | 本文で店名を挙げた |
| 主な出典 | Googleの場所の情報。ビジネスプロフィールの紹介文がそのまま出典に使われた例があった | ChatGPTはグルメ・予約サイト(ホットペッパー、食べログなど)が中心。Geminiは比較記事や公式サイトが中心 |
| Googleマップの店舗情報が出典になったか | なった | ならなかった |
試験から読み取れたことは次の3点です。
- AIモードは、ビジネスプロフィールを読んでいる。 個室の有無を聞いた質問では、紹介文に個室があると書いていた店が出典になりました。条件を紹介文や営業時間に事実として書くことが、そのまま効きやすい面です
- ChatGPTとGeminiは、AIモードと勧める店がほとんど重ならなかった。 出典がグルメサイトや公式サイト、比較記事に寄っていたため、ビジネスプロフィールだけを整えても届きにくい面があります
- 結果は短時間で入れ替わる。 約4時間後に同じ質問をAIモードにしたところ、前回の店舗カードのうち再び出たのは約4割でした。1回聞いた結果で「出た・出なかった」を判断するのは早計です
小規模な観測なので、傾向として受け止めてください。ChatGPTやGeminiは、普段使うアプリとは別の窓口から試したため、アプリでの回答とは異なる場合があります。
参照先ごとに、店舗が整える情報
試験の結果と調査を合わせると、店舗が整える情報は「AIが参照する先」と「お客様が確かめる先」の両方にまたがります。それぞれの役割は次のとおりです。
| 情報源 | 主に読まれる場面 | 整えること |
|---|---|---|
| Googleビジネスプロフィール | Google検索のAIモード、Googleマップの「マップに相談」、確かめのための検索 | 紹介文・営業時間・サービス・メニューに、条件にされやすい事実(個室、駐車場、土日の営業など)を書く |
| 公式サイト | Geminiなどの出典、確かめに来た人 | よくある質問、料金、対応エリア、予約方法を、画像ではなく文字で書く |
| グルメ・予約サイト | ChatGPTなどの出典、確かめに来た人 | 営業時間、メニュー、価格、写真を最新にする。使っていない掲載は閉じるか更新する |
| 口コミ | AIの紹介文の材料、確かめに来た人 | 返信で事実を補う。実態と違う内容には、事実を落ち着いて説明する |
公式サイトは「文字で答える」
Googleは、AIによる概要やAIモードに表示されるために、追加の要件や特別な最適化は必要ないとしています。そのうえで、重要なコンテンツをテキストで示すことや、ビジネスプロフィールの情報を最新に保つことを、基本のベストプラクティスとして挙げています。
料金表やメニューを画像だけで載せている場合は、主な料金・コースの内容・対応エリア・予約方法を、ページの本文にも文字で書いておきましょう。よくある質問は、お客様に実際に聞かれた質問から作ると、AIに条件付きで聞かれたときの答えにもなります。
ChatGPTの検索機能については、OpenAIが、検索結果にサイトを表示するクローラー(OAI-SearchBot)をrobots.txtで拒否すると、ChatGPTの検索の回答にそのサイトが表示されないと説明しています。制作会社やサーバーの設定でAI関連のクローラーをまとめて拒否していないか、一度確認しておくと安心です。
料金はビジネスプロフィールの紹介文ではなく、所定の欄と公式サイトへ
Googleは2026年10月、Googleマップとビジネスプロフィールのコンテンツポリシーで、店舗の掲載情報に期間限定のプロモーション・価格・直接的な行動を促すフレーズを含む宣伝目的の内容を載せないよう明記しました。料金を伝えたいときは、紹介文に書き込むのではなく、サービスやメニューの価格欄と、公式サイトの料金ページを使います。
どの情報源も、同じ事実にそろえる
営業時間、定休日、料金、予約方法が情報源ごとに違うと、確かめに来た人は迷い、候補から外す理由になります。変えるときは、ビジネスプロフィール・公式サイト・グルメサイトを同じ日に直します。プロフィールが勝手に書き換わる仕組みと対策は、Googleマップの店舗情報が勝手に変わる原因と直し方で解説しています。
自店がAIにどう紹介されるかを確かめる手順
AIの回答は、聞き方・場所・時期で変わります。次の手順で、月に1回程度、同じ条件で確かめると変化を追いやすくなります。
- お客様が聞きそうな質問を3〜5件決める。 「地域+業種+条件」の形にする(例:「吉祥寺 美容室 縮毛矯正 土曜」)。条件は、口コミや電話でよく聞かれることから選ぶ
- 同じ質問を、日を変えて複数回聞く。 1回の結果ではなく、「4回中何回出たか」で見る
- 店名が出たかに加えて、説明に誤りがないかを見る。 営業時間、料金、提供していないサービスなど、事実と違う説明がないか
- 出典に何が並んだかを記録する。 ビジネスプロフィールか、公式サイトか、グルメサイトか。誤りがあれば、その出典の情報を直す
- 結果を、施策の記録と並べる。 紹介文を直した日、公式サイトに質問を足した日と比べる
確かめるときは、ログインしていないブラウザや、店舗と関係のない端末を使うと、お客様の見え方に近づきます。
atlio MEOでできること
atlio MEOは、AIツールの回答に自店が出たかどうかを測る機能は提供していません。上の手順で確かめた結果を受けて、ビジネスプロフィール側を整える作業に使えます。
- AI検索の点検:店舗設定の「AI検索」タブで、業種ごとにお客様が条件にしやすい話題(駐車場、個室、土日の営業など)が、紹介文とサービスに書かれているかを一覧で確認できます。口コミで話題になっているのに書かれていない話題にも気づけます
- 基本情報の編集:紹介文・電話番号・ウェブサイトを編集し、下書きで練ってからGoogleへ反映できます。店舗名・カテゴリ・住所はGoogleの最新情報を取り込んで確認できます
- 口コミへの返信:口コミにAIが下書きした返信文を、確認・編集してから返せます
よくある質問
LLMO(AI向けの最適化)は、MEOと別に取り組む必要がありますか
重なる部分が大きく、別物として考える必要はありません。Google検索のAIモードはビジネスプロフィールを参照しており、MEOで整える紹介文・営業時間・口コミがそのまま使われます。違いは、ChatGPTなどがグルメサイトや公式サイトを参照する点です。MEOに加えて、公式サイトとグルメサイトの情報をそろえることが「AI向け」の取り組みになります。
llms.txtのような専用のファイルを置けば、AIに勧められやすくなりますか
Googleは、AIによる概要やAIモードのために、AI向けのテキストファイルや特別な構造化データを新たに作る必要はないとしています。まずは、重要な情報を公式サイトの本文に文字で書き、ビジネスプロフィールを最新に保つことを優先してください。
AIに、間違った営業時間や料金で紹介されていました
出典に並んだ情報源を確認し、その情報を直します。ビジネスプロフィール、公式サイト、グルメサイトのどこかに古い情報が残っていることが多いです。AIの回答画面にフィードバックの機能がある場合は、あわせて報告します。
AIに必ず紹介されるようにする方法はありますか
ありません。AIの回答は聞き方や場所、時期で変わり、同じ質問でも数時間で結果が入れ替わることがあります。「AIで上位に表示させる」と保証するサービスには注意してください。店舗ができるのは、条件に答えられる事実を、どの情報源でも同じ内容で載せておくことです。
飲食店以外の業種にも当てはまりますか
今回の調査は飲食店選びが対象ですが、atlio MEOの試験では美容室や歯科でもAIモードが店舗を勧め、ビジネスプロフィールの紹介文が出典になっていました。業種を問わず、条件にされやすい事実を書いておくことは役に立ちます。業種ごとの書き方はAI検索時代のMEO対策で解説しています。
まとめ
訪日ラボの調査では、飲食店選びにAIツールを使う人のあいだで、AIが提案した店への来店率は60%でした。一方で、AIの情報だけで店を決めたことがある人は約28%で、8割以上が情報の不備を理由に店を候補から外したことがあります。
- 「60%」はAIで店を選んだことがある人が対象の数字で、設問と母数は公開部分では確認できない
- Google検索のAIモードはビジネスプロフィールを、ChatGPTやGeminiはグルメサイトや公式サイトを参照する傾向があった(atlio MEOの小規模な試験)
- ビジネスプロフィールには条件にされやすい事実を、公式サイトにはよくある質問・料金・対応エリアを文字で書き、グルメサイトも最新にする
- どの情報源も同じ事実にそろえ、確かめに来た人を迷わせない
- AIの回答は入れ替わりやすいので、同じ質問を複数回聞き、出たかどうかに加えて説明の正しさと出典を記録する
AIに勧められることと、確かめた人に選ばれることは、同じ準備でつながっています。まずは自店で「地域+業種+条件」の質問を3つ決め、AIにどう紹介されるかを確かめるところから始めてみてください。
参考情報
- 訪日ラボ「AIツールが飲食店選定に与える影響の調査」 (外部サイト・新しいタブで開きます)
- 訪日ラボ:AIツール推奨店への来店率は60%!AIツールが飲食店選定に与える影響度レポートを公開 (外部サイト・新しいタブで開きます)
- 訪日ラボ「飲食店探しにおける検索手段とAI活用に関する意識調査」 (外部サイト・新しいタブで開きます)
- Google 検索セントラル:AI 機能とウェブサイト (外部サイト・新しいタブで開きます)
- Google ビジネス プロフィール ヘルプ:禁止および制限されているコンテンツ (外部サイト・新しいタブで開きます)
- OpenAI:Overview of OpenAI Crawlers(英語) (外部サイト・新しいタブで開きます)
※AIツールの回答内容や参照先は、聞き方・場所・時期・利用する窓口によって変わります。記事中の試験結果は、AI検索での見え方を測る機能を検討するため、atlio MEOが2026年10月12日に小規模な試験を行ったもので、結果は傾向として扱ってください。この記事は2026年10月15日時点の公開情報をもとに作成しています。


